神話にみるキロン

~キロンの発見~

キロンは、1977年に土星と天王星の間で発見された、彗星・小惑星遷移天体のひとつです。ギリシア神話に登場するケンタウロスの一人、ケイローンにちなんで命名されました。そして、木星と土星の間にもときどき入り込んでくるちょっと変わった小惑星です。その為、キロンを解釈する時には土星、天王星、木星の神話も絡むことになり、これらを象徴的に解釈していく事になります。

 神話では、原始の空の神ウラヌスは、彼の息子クロノス又はサターン(土星)によって去勢されました。クロノスはその後、息子の一人が自分を転覆させると言う神託を受ける事になります。これを怖れたクロノスは、自分の子供が出生する度に飲み込んで行きました。ですが、クロノスの息子、ゼウスが生まれた時、母親レア―は、クロノスをうまく騙し石を飲ませ、ゼウスをうまく隠してしまいます。その為、クロノスは、ゼウス(木星)を見つける事が出来ませんでした。ゼウスは、山羊のニンフのアマルテイアによって隠されて養育を受けました。そして、ゼウスは予言を実行可能になるまでに成長し、ポセイドンとハデスの助けを得て父クロノスを転覆させることに成功しました。ゼウスは、落雷を投げつけ、クロノスをタルタロス(牡牛の領域)の地下に閉じ込めました。

~父と子の葛藤物語~

 キロンは、キロンの父であるクロノスが、神託で予言された運命を避けようとしている間に生まれました。このことから、個人的なチャートにおけるキロンは、両親から持ち運んだ慣習を反映し、責務と苦悩(土星)を表します。しかし同時に、これらを乗り越えて行こうとする新しくてクリエイティブな力を、人生に組み込んで行く為の機会を示すことにもなります(天王星)。

 キロンは、神話と同様に、キロンのあるハウスに関連するテーマにおいての困難さ、拒絶、否定などを示す事が多いでしょう。ですが、それは苦しんでいる事に対して、クリエイティブな可能性をオープンし、これらのエネルギーを表現する為のそれまでとは違った方法を見つることで、人生を充実させていくことが出来るということになります。

 先祖の慣習のテーマは、キロンとケンタウルスを扱う時にしばしば重要となり、特にキロンが土星にアスペクトする時にその重要さが増します。このことはとても無意識的なこととなり、望みや夢が満たされることがないこともあるかもしれません。また、心理的な抑圧を作り上げているかもしれず、世代による影響が他者の犠牲を経て個人の性格として発展したところにもなるでしょう。それは、ある面において、解放と再びバランスをとろうとし、もう一方の面では、家族のやっかい者によって表現されることがあるでしょう。未解決なトラウマや時代的な苦しみにおいてある特定の領域が存在し、それは先祖から受け継いでいるもことでもあります。そして、その個人の癒しの旅において統合されて行くにつれ、そこにコンタクト出来る様になるでしょう。

 

~母親からの拒絶~

 神話の中で、キロンは最初に彼の母からの拒絶を受け、次に彼の生徒ヘラクレスによって傷つけられました。これは、赤ん坊が生まれると、文字通りへその緒を切り取られることによって傷つき、後に母からの心理的な別れのステージで苦しむことになる事の象徴を示している様でもあります。

 最終的に傷付いた背景を見て、理解する事で、癒しと憐みと赦しの心が生まれ、成熟していくことになります。人は、自分自身や他者を傷つけたものを、自分の中にもあることを認めることで、エネルギーが解放されて、そのことが予期せずに自分を救うことになります。そして、その「傷付いた人」は、癒しの為の重要な鍵を内側に置くことが出来る様になるのです。

(参考文献)MELANIE REINHART『CHIRON and THE HEALING JOURNEY』