月・欲求と安心の感覚

 月は地球の周りを周っている、私たちにとっても身近な星です。太陽も毎日その存在を感じさせてくれますが、地球からしたら、月の方がとても近い位置にあります。その分、身近であり、馴染みがある、と言うことが相応しいでしょう。近すぎるからこそ、無意識的になることもあります。

 

 太陽の光を反射して夜に光る月。月が占星術で大きな意味を示すことは言うまでもありません。そして、太陽よりも近いことから、太陽よりも自分にとって近しく馴染みのある性格となります。外で奮闘してから、家に帰った時の顔や、親しい人に見せる顔になります。雑誌の星座占いは太陽がメインですが、日々の占いや週や月単位の占いをするなら、月の星座の方がより心にピッタリとくる筈です。ですが、月はその動きが速いため、誕生日を知っているだけでは、自分の出生時の月がどの星座に置かれていたかはわかりません。きちんとホロスコープを算出する必要があります。その為、雑誌など月を使って占うことは難しいのです。ですが、このことは意外に理にかなっていて、うまく太陽と月が象徴されています。公の場で表に出すのが太陽とすると、月はその裏側である私生活や内面の気持ちなどを扱います。雑誌など皆が読めるものは表。そこでは、本当の気持ちに寄り添うことは出来ないし、する必要はないのでしょう。

 

 月の表すところは、人間が生まれてから環境によって無意識的に形成される性格です。環境から最初に受けたものを、人は自分にとって最も馴染みがあると感じ、懐かしい感覚を得ます。そして、月は人間としての根源のところから湧き上がってくる欲求を示します。月の欲求を満たす事で、人は安心感を得ることが出来、気持ちを充電させることが出来、外の世界へ立ち向かって行く為の力を得ることが出来ます。

 

 月の欲求は、満たされていないと感じるからこそ欲求になると言う側面があります。幼少時、それを満たしてくれるような家庭環境では無かった、両親が理解を示してくれなかった、経済的や家庭の事情で得ることが出来なかった、そのような不足感を感じているからこそ、成長の段階の途中で欲求が認識されることもあります。ですが、あまりに強く抑圧されすぎていると、不足感でさえも感じる事が出来ず、自身の欲求さえも何なのか感じとることが困難になっている場合もあります。感情表現が乏しい、逆に激し過ぎる感情表現などで、感情をうまく出すことが出来ない人は、月が置かれているサインやハウスの意味するものを見直し、習慣的に取り組んでいくことで、欲求を満たし安心を得る行為を繰り返し覚え込んで行くことが必要かもしれません。

 

 このようなことはチャートが物語っていることがあります。月がトランスサタニアンからアスペクトを受けていると、突然安心を奪われる経験をしてる可能性があり、安心の感覚を自分では取り戻すことが出来ないと感じる経験となり、そのことは自分が存在して良い感じる居場所が無いと言う気持ちや、無力感を引き起こしてしまうことがあります。その為、常に緊張しっぱしであったりすることがあります。火星や土星とのハードアスペクトなども、強い抑圧や激しい怒りに触れ続けている環境に身を置き続けていて、結果的に自分の欲求を感じ取れないでいることがあるでしょう。木星は良い惑星とされていますが、月と木星がハードにアスペクトしていると、ひょっとすると親の大きな期待を背負い過ぎてしまって、疲弊していたり、周囲の期待や望みばかり叶えていて、自身の小さな望みをないがしろにしている可能性があります。

 

 月の欲求は、誰に評価されるものでなく、直接的には何の役に立たない可能性がある、そういう認識や知識を得ることは大事なことです。月が脅かされている人は、「世の中や人の役に立たないのに意味が無い」「やっても無駄」などと、効率重視や目的や意味、対外的な目的などに振り回され過ぎていて、自身の柔らかい気持ちを切り捨てていることがあります。それでは結果的にいつまで経っても充足を得ることがありません。本人は目的を達成していないから満足していないと思っているので、さらに何かの役に立とうとするけれど、そのモチベーションはちっとも沸いてこないというジレンマに陥っています。そう言う場合、自分の小さな欲求に戻ること。大人になってからは、それを自覚的に取り組んでいくことで、自分の欲求と共に、内側を再度養う必要があるのです。


 月の欲求を理解し、自分に安心をもたらすことが出来ると、外界でも安心して活動することが出来ます。「自分には帰る場所がある」と言う気持ち、それは実際の家族や故郷のことでは無いかもしれません。むしろそれらが危機的な状態だった人は、それ以外の安心の方法を身に付ける必要があり、それは月のサインやハウス、アスペクトしている惑星などが教えてくれます。そうやって自分の心に居場所を与え、安心感をもたらすことで、人生に自暴自棄にならずに、人生と言う冒険を安全に航海する為の土台となることでしょう。

 

(2018/02/05 by Mira)